メッセージ



2025/06/12

なぜ当院では美容メニューを推さないのか?

ズバリ、理由は一つ。
**「健康なくして美容なし」**という考え方を大切にしているからです。

一言に美容といっても、「スキンケア」「痩身」「小顔」などさまざまなアプローチがあり、求めるものも人それぞれ異なります。しかし、これらすべてに本当に応えられるほど、整体や鍼灸が万能かと言われると――残念ながら明確な効果(エビデンス)があるわけではありません

実際には「○○が上がる」「小顔になる」など、あいまいな効果をうたってSNSで集客しているお店もありますが、それが本当に施術による変化なのかは慎重に見極める必要があります。
そもそも、整体や鍼灸は本来「健康のための手段」であり、美容目的で作られたものではありません

だからこそ当院では、美容を前面に出すことはしておりません。
むしろ「健康が整えば、自然と見た目も整ってくる」という考えのもと、まずは身体の内側から元気になることを重視しています。


安全と責任を大切にしたいから

もう一つの理由として、衛生管理と病理に関する知識の重要性があります。

美容をうたう施術であっても、万が一、皮膚トラブル・感染症・持病の悪化などが起きた場合、どう対応するかが問われます。とくに無資格・無免許で施術を行っている店舗では、こうした事態への備えが不十分なこともあります。

「何かあっても証拠がないから」と責任を逃れるケースもあり、被害に遭われた方の声も実際に耳にしています。
だからこそ当院では、安易な美容メニューの提供や誇張した表現は行いません


「誠実であること」を、何よりも大切に

当院では、明確な目的と必要性があるお客様に対してのみ、美容に関連する施術をご提案することがありますが、あくまで健康増進の延長線上にあるものと位置づけています。

誇張や誘導でメニューを売るようなことはいたしません。
身体に触れる仕事だからこそ、誠実であることを大切に、今後も地道に向き合ってまいります。




2025/06/02

なぜ当院では「頭蓋骨整体」や「小顔矯正」などの美容的施術を行わないのか?

動画やSNSなどでよく見かけるようになった、
「頭蓋骨を動かす整体」
「鼻が高くなる施術」
「小顔になるマッサージ」
「内臓を動かす整体」
――こうした手技に対し、当院では一貫して行っておりません

その理由は明確です。
医学的・解剖学的に見て、現実的に“不可能”だと考えているからです。

なかには、頭蓋骨の深部にある「蝶形骨」まで動かせると豪語する施術者もいますが、実際には成人の頭蓋骨はすべて縫合でしっかり固定されており、外部からの手技で動かすことは不可能に近いと考えています。
つまり、それを可能だと見せている施術は、ほぼ例外なく“錯覚”や“期待感”を利用した演出にすぎないのです。


美容を売りにした施術には、慎重な目が必要です

「鼻が高くなる」
「エラが小さくなる」
「蒙古襞が消える」
など、見た目のコンプレックスに寄り添うように見えて、実際には明確な根拠や結果の裏付けがない施術が目立ちます。仮に、手技のみで本当に造顔(顔の形を変える)ことが可能であれば、美容整形の存在意義すら揺らぐはずです。
整体や鍼灸は本来、「健康を整える」ための手段であって、美容目的で設計されたものではありません。
ですので、「美容」を前面に押し出す整体・鍼灸院については、本当に効果があるのか、慎重に見極める必要があります。

また、美容目的で施術を受ける際には、信頼できる医療関係者や専門家と相談の上で、リスクや限界を理解したうえで選択することがとても重要だと考えています。


当院で行っている「顔鍼」について

当院でもご希望の方に対し、顔への鍼(美容鍼)を行うことはありますが、あらかじめ次のように説明しています:

「顔が小さくなる」「輪郭が変わる」といった変化は起きません。
鍼の刺激によって“むくみが軽減し、スッキリ見える”という一時的な変化がある程度です。」

見た目の変化を約束することはしておりません。
あくまで、お顔周りの血行促進や、筋肉の緊張緩和、リラックス効果などを目的とした補助的施術と捉えております。


誠実な施術を、嘘なく提供したい

当院では「できないことは、できるとは言わない」という姿勢を大切にしています。
身体を預ける相手として、本当に信頼できるのは、現実を誠実に語る施術者ではないでしょうか?

お客様の健康と未来のために、これからも正直な施術を提供してまいります。




2025/05/29

どこの鍼灸院にも書かれていない正直過ぎる鍼灸の話(個人的な見解です)

皆様は鍼を打たれるイメージはどのようにお持ちでしょうか?
おそらくブスッ! チクッ! イターーッッ!!みたいなイメージを持っている人が多いのではないかと思われます。

これは「画鋲が身体に刺さったイメージ」「注射」と鍼を刺すイメージが完全に混同しているのではないかと推察しますが 実際は違います。

注射針は身体(皮静脈or筋肉)に液体を入れるための針管と言って針でなく管(くだ)を刺入します。なので鍼灸針と注射針とは根本的に細さが大きく異なり、例えるなら鍼灸用針は太めのマツ毛エクステのつけ毛ぐらいの太さだと思っていただいて良いと思います。

(※インスリンを注入する針は鍼灸の鍼と細さは同じと言われていますが、鍼灸の鍼はビョンビョンしなります)

ちなみに画鋲は異常に太い針なので刺さるとそりゃ痛いです。画鋲と鍼灸用の針の太さとは鉛筆と縫い針ぐらい違います。

得気(とっき)という感覚
実際 鍼灸の鍼は刺された時「チクッ」みたいな痛みはほぼ無いのですが、鍼が皮膚に刺さりそのまま鍼が身体の奥に進むと「ズーーン」、「ビーーン」と言ういわゆる『重く・ひびく』と言う感覚が現れます。これは中国医学で言う所の「得気(とっき)」と言われる現象にでこの感覚は西洋医学的にはまだ解明されていません。

鍼が「いたい」とされる理由
鍼灸の”得気”によって重く響く感覚が身体から発して、場合によっては刺していない身体の部位にまで何かしらの感覚が走る現象があります。これを「経絡に沿った得気」と言い、これらの現象を個人的には「ツボってる」っと表現していますが、残念ながら受けて見ないとわからない この独特な”得気”の感覚は的確な表現が無いあまり「あぁッ オモイタイ!!」と言わずに、「あっ イタい」と言う人が大勢いるので「痛い」でまとめられてしまいました。

この独特な感覚は個々によって好きになる人ダメな人に分かれてしまいがちで、苦手な人には完全に「痛い」になってしまっています。(鍼灸師の技量も大きく影響しますが)

痛くない鍼と痛い鍼の違い

他所のHPを見ると「痛くない鍼」と掲げている鍼灸院が多々あります。では「痛くない鍼」と「痛い(響く)鍼」と何が違うのでしょうか、わかりやすくするために以降の説明は西洋医学寄りに解説したいと思います。

まずこの響く感覚”得気(とっき)”は簡単に言うと『身体に対する刺激』に相当します。この刺激の事を西洋医学ではドーゼ(ドーズ)と言います。たまに薬の過剰摂取の事を「オーバードーズ」とニュース等で聞く事がありますが、ドーゼとは身体にかかる刺激(負担)の事を言います。

鍼灸は先に書いた「重く 響く」がドーゼに当たり、これらのドーゼによって身体の変調を利用した療法と考えています。

痛みのない鍼灸と言うのは当然この”得気”がない施術の事に相当しドーゼの量は低い、もしくはゼロに近いと考えます。個人的にはドーゼの刺激量に対して効き目も比例すると考えているためドーゼの刺激が強ければ効き目も大きいと考えており、実際に中国の鍼灸は異常に長くて太い鍼を使用して強烈なドーゼを与えていますがリスクが高い分その分奇跡も生まれると言われています。痛みの無い鍼灸とは真逆になります

浅く刺す傾向

痛く無い鍼を刺す鍼灸師の特徴の一つに”浅く刺す”事が多くあります。深さで言うと1㎝~1.5㎝程度でしょうか筋肉まで刺さない様です。そして彼らの中によく経絡(気・脈)を語る鍼灸師がいます。この件に同業者目線で思う事は

「この人達は本当に気や脈の事判っているのか?」

「本当にツボに当たって刺しているのか?」

この二点に大きな疑問を持っています。

当たり前の事ですが気や脈と言うのは『感じ取る』事です。感じ取る行為自体文字の勉強しただけでは理解できないのはわかると思います。それこそ場数を踏まないと話になりません。それこそハッキリ言ってしまうとわたくし自身『気』の概念はよく判っていません。普段その人個人から発する「気」はある程度分かりますが、身体の中に走っている「気」は30年以上やっててもどうにもこうにも理解できません。しかし判っているかのように「気」を語る鍼灸師がいますが、どこまで判っているのかいつも疑問に思ってしまいます。

しかし「気」が判らなくても痛みを取ると言った”結果”出す事は可能なので

痛くない鍼の効果

痛くない鍼の効果は前述に書いたようなドーゼによる刺激による効果を期待するものとは少し異なります。うっかりどこか身体をぶつけた際に痛みが発し、その所を「イタタタタ」と手で擦る事で痛みが軽減する事があります【”手当て”の語源と言われています】、発痛の感覚を手で擦る事で違う感覚に変換して痛みを軽減させてしまう効果の事をゲートコントロール理論と言います。痛くない鍼はこのゲートコントロール理論を中心に その効果を狙った施術だと考えます。それと薄いドーゼだとアウターの筋肉が緩み自律神経が安定し、そのままリラックしてスッキリした目覚めの様な感覚になる事もあります。

痛くない鍼のデメリット

痛くない鍼を刺される事で”刺される”恐怖感は薄れてリラックス効果は期待できますが、逆に言えば効果が薄いため効き目がよくわからないため重度によって「なんだかよくわからなかった」と言う結果も大いにあり得ます。

さらに言えばゲートコントロール理論の理屈で見ると、マッサージの方が効き目も効果も上回る可能性も多く「針を刺されたリスク」だけもらって後は何も無いのであれば反感を買ってしまうマッサージをしたがらない労力を拒否している鍼灸師側のリスクもあります。

寝ちがいなどの痛みが発生した際に、施術直後は良くなった感じはしましたが数時間後にはまた痛みが再発する可能性も少なくありません。こればかりは鍼灸師の技量がモノを言うのですが、実際施術の結果はわかりにくいのが現状です。鍼灸師自身が響く鍼が嫌いで、そもそも当人の理想として「痛くない鍼」と信条としている人が多いのですが、結果的に団栗の背比べ的な鍼灸師が多いのが現状です。

部屋掃除で例えてみると・・・

・痛くない鍼の場合は部屋が散らっている状態と仮定しそれに対して整理整頓された(上↑のイラスト)と言うイメージではないかと思います。

散らかった部屋は掃除してもすぐ散らかる可能性が高いため こまめに掃除をしなければなりません。

なので患者さん個人の体質や環境により、その鍼灸師の言う事一つで来店頻度が左右されてしまうため、それなりに通わなければならず不経済になりやすいと言う欠点があります。

普段の自覚症状と結果に対する自覚症状のギャップが低く、おまけに数多く通う事で弱刺激に身体が慣れてしまい効いてるのか効いて無いのかわからなくなりがちで惰性になってしまう事もあります。

※ わたくし自身鍼灸施術はその都度それなりの変化や結果が無ければ意味が無いと考えているため、患者さんに対する”見立て(診断)”に対してドーゼの量のさじ加減や引き出しを多く持っている事が良い施術者の条件では無いかと考えます。

・痛い(響く)鍼はとんでもない状態の汚部屋から元に住居空間で生活ができる所までになった(下↓のイラスト)では無いかと思っています。それなりにビンビン響かせるため身体にかかる刺激は結構ありますが、特に腰痛や首の痛みと言った急性の痛みに対しては劇的とも言うべき痛みの軽減が観られて結構驚きを隠せない反応を出してしまう人も少なくありません。

鍼を刺して響かせる事により脳は何かしら反応を示します。そもそも鍼灸の響き自体は身体の深部のからのシグナルなので、脳にしてみたらエライ事が起こっていると勘違いします。この勘違いをプラセボ効果(プラシーボ)と言います。【痛くない鍼でもこのプラセボ効果は期待できますが、脳からすれば危機的な事ではないと判断されてそんなに変化は起こりません】

痛い(響く)鍼のデメリット
ドーゼ(刺激)の量によって仕事に影響してしまう事が挙げられます。重たくなったり、ダルくなったり、眠たくなったりといわゆる好転反応がでるため施術を受けるタイミングは必要な場合があります。やはり結局痛いと判断されると個々によってあまり鍼を受けようとポジティブな気持ちになりにくい人が多く恐怖が先考してしまうので、万人向けでは無いと言う所です。鍼灸師によって技量にものすごくムラあるため、下手な鍼灸師に当たると恐怖だけ与えて後は何もありません。




2025/5/22
★・ 店主とのツーショット(ピース付き)の写真を撮影してHPに掲載
 ・お客様の声書かせて、それを壁一面に張り巡らせる
 ・ネット上で高評価カキコミを要求するような事
当院がこうした行為をやらないのはなぜか?


◆ まず根本的な理由:私自身がやられたくないからです

施術を受けたあと、「写真を撮らせてください」「口コミを書いてください」と言われると、正直いい気分はしません。
本来、施術はとても個人的な体験であり、身体の不調や悩みと真剣に向き合う場です。そこに過度な演出や宣伝目的のお願いが入ってくると、信頼関係が揺らぐと感じてしまうのです。店員の前で本音も書きづらい所もあります。

ですから、自分がされて嫌なことは、絶対にお客様にも要求しない。
これが当院の基本的な考え方です。


◆ 集客行為が過熱する背景:他業種の模倣とコンサルの介入

手技療法業界では、飲食業や美容業など他業種で成功した集客法が安易に導入されがちです。
背景には、業界経験が乏しいままコンサルタントに転身した元施術者や、ネット予約システムを販売する業者の存在があります。彼らの多くは国家資格や法律知識を持たず、医療的な倫理観にも欠ける場合があり、安易な演出型の集客を推奨しているのが現状です。

しかし、健康・個人情報・信頼関係が重要となるこの業界において、他業種のやり方がそのまま通用するとは思えません。


【問題点①】 プライバシーと守秘義務の軽視

国家資格を掲げている施術者であれば、**患者の情報を守る義務(守秘義務)**があるのは当然です。
それにもかかわらず、「ツーショット写真」「症状を書かせた口コミ」などを宣伝に使用することは、患者様の善意を利用した宣伝行為に他なりません。

お客様が了承していたとしても、それを施術者側が発信すること自体に、私は強い違和感を覚えます。
本当に信頼できる施術者であれば、そういった倫理観のある対応が必要だと考えます。


【問題点②】 サクラ(やらせ)口コミの存在

ネット上には、「地域No.1」「高評価4.9」などの称号が並ぶ店舗もありますが、その多くが広告料や報酬によって作られた演出である可能性があります。

過去には、ポータルサイトに登録したとたんに口コミが大量投稿される現象が起き、「根拠のないNo.1表記」が消費者庁から警告を受けた事例も存在します。
高評価レビューを書いた見返りとして割引を渡すなどの行為も、「景品表示法違反」や「虚偽表示」に該当する可能性があるため、非常にグレーな手法と言わざるを得ません。


【問題点③】 個人情報の流出リスク

中には、口コミを投稿した方に対し、後日「内容を変えてほしい」「消してほしい」と電話が来たという事例もあります。
これはつまり、店舗側が顧客の個人情報を第三者と共有している可能性を意味します。
チェーン展開している場合、本部に顧客情報が集約され、倒産時などにその情報がどう扱われるのか不透明なケースも見受けられます。


【問題点④】 壁一面に貼られた「お客様の声」

お客様の声を壁一面に貼っている院もありますが、これは他のお客様が、その方の症状や通院履歴を知ってしまうことにもつながりかねません。
また、背景装飾として使われる場合もあり、集客の道具として患者様の声が利用されている構図は、誠実な対応とは思えません。

中には、すでに通院していない方の声や、前の院で撮ったツーショットを転用するなど、情報の鮮度や信頼性に欠けるケースもあるようです。


◆ コンサル依存が引き起こす“経費優先”の悪循環

こうした演出型集客の多くは、実は外部のコンサルティング業者が考案したテンプレートです。
業者に支払う費用を確保するために、回数券・高単価メニューなどを導入せざるを得なくなるという悪循環が起きています。

さらに、コンサルはあくまで「集客の手段」しか教えません。
技術や経験の向上を支援するわけではないため、やがて中身が伴わない表面だけの店舗が増え、本当に良い仕事をしている院との区別がつきづらくなっているのが現状です。


【当院の考え】

当院では、お客様に対して「ネットでの高評価を書いてください」「写真を撮らせてください」などのお願いは一切しておりません。
むしろ、書き込みを遠慮していただくようお願いする場合もあるほどです。

理由はひとつ。
“本当の善意”の声までが疑われてしまう時代だからこそ、そういった行為は慎重に扱うべきだと考えるからです。


■ まとめ

  • 施術者の姿勢や人柄は、ネット上の数字では測れません
  • お客様の身体に触れる立場だからこそ、倫理観と誠意を持った対応を大切にしたい
  • 本当に信頼される治療院は、口コミや演出ではなく「結果と満足」で選ばれるべき

今後もたねだ治療院では、「人としての誠実さ」を第一に、地道に技術を磨きながら、皆様のお役に立てるよう精進してまいります。




2025/5/19

なぜ当院では回数券やサブスクリプション制度を導入しないのか

◆ 回数券の本質とは?

まず、施術者の立場からすると、回数券を販売するということは「そもそも本気で良くしようと思っているのか?」という疑問が生まれます。
さらに近年では、某脱毛クリニックの倒産により、回数券を買った多くの方が損をして泣き寝入り…というニュースも耳にします。
果たして回数券は本当に「お得」なのでしょうか?

実際に回数券を購入された方の声を聞いてみると──

  • 有効期限があるため、通うペースを強制される
  • 回数券を買った途端に予約が取りづらくなる
  • 「骨盤が歪んでいる」と言われたが、改善の実感がない
  • 最初と最後だけ院長が担当し、途中は新人施術者が対応した
  • すべて消化する前に店舗が閉業した
  • 回数券の価格設定に根拠が感じられない

など、不満の声も少なくありません。

◆ 値段の仕組みと「お得感」のからくり

整体・マッサージ・鍼灸などの手技療法の価格は、交通機関や飲食店のように固定されたサービスでは全くありません。スタッフが数人いれば技量の差が絶対にあるため、行く度に常に同等のサービス(商品)を受けられるか疑問です。

例えば、1回当たり5000円で6枚綴りと1回6000円で5枚綴りでも同じ値段です。値段は同じでも回数分が異なります。要するに一回分の単価を操作すればどうにでもなると言う事です。
価格は基本的に各店の責任者が勝手に設定しているだけに過ぎません。

また、都度払い(一回分)価格を不自然に高く設定し、「回数券のほうが安いですよ」と誘導する院も見受けられます。これでは、冷静な判断ができなくなり、結果として高い買い物になってしまうリスクがあります。(例:一回分は15,000円、回数券にすると10回分で80,000円。5回分だと45,000円にしている)

◆ 技術の不均一性とサービスの質

回数券やサブスクリプションが主流になっている院では、スタッフ間の技術差やサービスのばらつきが目立つこともあり。常連客に対しても施術が惰性になり、「最初だけ丁寧、後は流れ作業」というケースも少なくありません。

親切・丁寧な接客はもちろん大切ですが、それだけで安心するのは危険です。
もし料理店で「接客は丁寧だったけど料理はマズかった」としたら、次は行きませんよね?
施術も同じで、本質は技術力であり、効果であり、結果です。

◆ サブスク制度の落とし穴

最近では「月額〇〇円で通い放題」というサブスクリプション制度を導入している施術院も増えています。一見お得に見えるこの仕組みですが、実は次のようなデメリットも存在します。

  • 「元を取らなきゃ」と無理に通ってしまい、自分の体調より回数が優先されてしまう
  • 毎回の施術の質が落ちやすく、施術者側も惰性で対応しがち
  • 結果が出なくてもズルズル続けてしまい、コストだけが増える
  • 「通っている」という事実に安心してしまい、本質的な改善から遠ざかる

当院では、このような“数で縛る仕組み”は、根本的な改善を目指す施術にはそぐわないと考えています。

◆ 業界の事情と私たちの立ち位置

整体業界は今、非常に競争が激しくなっています。価格競争やチェーン店の増加により、「安かろう悪かろう」が蔓延しつつあります。その結果、技術の未熟な施術者が回数券やサブスクで経営を安定させようとする例が増えてきました。
しかし、私たちは価格ではなく“信頼と技術”で選ばれる治療院でありたいと思っています。


整体・マッサージはクセになるのか?

「整体やマッサージはクセにならない」と言う施術者もいますが、私自身は「クセになる可能性は十分にある」と考えています。
なぜなら、
“楽して楽になる”という体験は、人間の脳にとって非常に心地よく、依存しやすいからです。

例えば整体では、ただ横になっているだけで身体が軽くなる、スッキリするという感覚があります。
これが繰り返されると、「またこの感覚を味わいたい」と思うのは自然なことです。


◆ 身体と脳の“慣れ”がクセを助長する

人間の身体は外部の刺激に順応する性質があります。
つまり、最初は「気持ちいい」と感じていた施術も、慣れてくると刺激が物足りなくなり、さらに強い刺激や頻度を求めるようになります。

このサイクルが続くと、本来の体調や健康状態とは関係なく、通うこと自体が目的になってしまう危険性もあるのです。しかも、施術の良し悪しに関係なくクセになってしまえば、結果的に身体にとって良くない状態を作ってしまうこともあります。


◆ 上手な施術ならまだしも、下手な施術でも?

もしその施術が本当に技術の高いもので、ストレス対策や自律神経の安定といった効果が得られるのであれば、一定の価値はあります。

しかし、技術が未熟な施術者の手によるものでは、身体への負担やダメージになるだけであり、クセになるどころか健康を損ねる危険すらあるのです。

「通った方が良いですよ」「月に○回来たほうが効果が出ますよ」といった言葉も、クセ化を助長してしまう要素になります。本当にそれが必要かどうか、冷静な目で判断することが大切です。


◆ なぜ都度払いでなく、回数券やサブスクを勧めるのか?

その背景には、整体業界の厳しい集客状況があります。

特にここ数年、1時間2,980円といった薄利多売の価格競争が広まり、業界全体の価格が崩壊しました。
その結果、「安くても技術がある人」もいれば、「安かろう悪かろう」な人も混在する玉石混交の状態になってしまったのです。


◆ 経験も技術も乏しいまま開業する施術者たち

近年では、整体師やセラピストが修行や下積みをほとんど積まないまま開業してしまうケースも増えています。
例えば、美容師は免許を取った後も5年以上の修行期間を経てからようやくハサミを持たされます。
しかし、整体業界では、いきなり現場に出されてお客様を担当することも珍しくありません。

当然、経験不足のままではリピーターもつきにくく、1回でできるだけ利益を出す必要があるため、結果として回数券や高額なパッケージを売るという方向に走ってしまうのです。


◆ 実際の開業事情と“見えない固定費”

こうした整体師が個人で開業しようとする場合、店舗物件は高額すぎて手が出ません。
そのため、アパートやマンションの一室で開業するケースが増えています。

ただし、そこにお客様が自然に集まるわけではなく、スパイス系のポータルサイト(大手口コミ予約サイト)などに頼らざるを得ないのが現状です。
しかし、その利用料は月に数万円単位で発生し、まるで家賃のように重くのしかかります。

そうなると、どうしても「お金を前もって確保できる回数券」や「継続的に収入が得られるサブスク」に依存する構造が出来上がってしまうのです。


◆ 最終的にお客様が犠牲になる構造

こうした施術者に共通するのは、「また来てください」を前提にした構成です。
たとえ技術が未熟で結果が伴っていなくても、継続課金さえされていれば経営は回る──つまり、「お客様の身体」よりも「売上と契約」が優先されてしまうケースがあるのです。

もちろん、すべての治療院や施術者がそうではありません。
ただし、こうした背景を知っているか知らないかで、選ぶ基準も大きく変わってくるのではないでしょうか。


■ まとめ

  • 整体やマッサージは「ラクして楽になる」ためクセになる可能性がある
  • 技術が伴わないまま開業し、固定費を賄うために回数券やサブスクを勧める施術者も多い
  • 薄利多売・価格崩壊による過当競争で、構造的に依存型の集客が増えている
  • 当院では、通わせる前提ではなく「必要なときに必要なだけ」の都度払いを大切にしている


◆ 当院が都度払いしか導入していない理由

当院では、お客様ご自身が「必要だ」と感じた時に、必要な分だけ施術を受けていただきたいと考えています。その方が、自分の身体と丁寧に向き合えるし、施術の効果も冷静に判断しやすくなります。

また、「通わせるための説明」ではなく、「卒業してもらうための説明」が本来のあるべき姿だと思っています。

◆ 最後に:価値を決めるのは患者様自身です

この施術には、この金額を払う価値がある」そう感じていただける内容を、毎回しっかりとご提供する。それが、当院が“都度払い”を採用している理由です。

何回通うか、通わないかを決めるのは、お客様ご自身の身体の変化と実感です。その判断力を養うことこそが、健康への第一歩だと私たちは考えています。

医療機関の受診や日々の体調管理、情報の取捨選択など、ご自身で健康と向き合う力のことを「ヘルスリテラシー」と呼びます。

当院では、ただ施術を提供するだけでなく、このヘルスリテラシーを高めていただくことを信念としています。

わからないこと、不安なことがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。無理な勧誘や販売は一切ありません。ご自身のタイミングで、安心してお越しいただける場でありたいと願っています。